2024年から住宅ローン減税はどう変わる?変更点を解説
マイホームを手にいれるための重要なステップの1つが、住宅ローンの活用です。日本では、住宅ローンを活用して新築住宅を建てると、減税が受けられる制度があります。しかし、2024年から住宅ローン減税に関するルールが変更されています。
これから家を建てる方は関わってくるため、変更点を理解することは重要です。そこで本記事では、住宅ローン減税の変更点を詳しく解説します。
住宅ローン減税とは
2024年の変更点を知る前に、そもそも住宅ローン減税とはどのような制度かを理解することが大切です。住宅ローン減税とは、住宅を購入またはリフォームするときに組んだ住宅ローンに対して適用される制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」と称され、住宅ローン控除とも呼ばれます。
住宅ローン減税を用いることで、新築住宅を購入した場合は13年間、中古住宅の場合は10年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%を所得税から直接減額することが可能です。
なお、所得税から控除しきれない場合には、住民税からも減税を受けられます。ただし、前年度の課税所得の5%に相当する、最高97,500円までと上限が設けられています。
※参照記事
2024年新築住宅の住宅ローン減税の変更点
2024年(令和6年)から、住宅ローン減税の変更点には、以下の3点があります。
- 省エネ基準を満たさないと対象外となる
- 省エネ性能によって借入限度額が異なる
- 申請に証明書が必要になる
それぞれについて、詳しく解説します。
省エネ基準を満たさないと対象外となる
2024年1月以後に建築確認を取得する新築住宅は、省エネ基準をクリアしていなければ、住宅ローンの減税対象から外れます。そのため、省エネ基準に達していない「その他の住宅」が減税を受けるためには、2023年12月31日までに建築確認を完了する必要があります。
ただし、2024年6月30日までに建てられる新築住宅については、省エネ基準を満たしていなくても、2,000万円までの借入れに対して10年間の控除期間で減税制度が利用できます。(特定の小規模住宅を除く)
特定の小規模住宅とは、床面積が40㎡以上50㎡未満で、2023年12月31日以前に建築基準法の規定に基づいて建築確認を受けた住宅を指します。
建築確認とは、住宅の建築工事に着工する前に、その建物や地盤が建築基準法などの要件に合致しているかの確認です。建築確認を受けた時期によって、減税の適用可否が決定されるため、注意が必要です。
なお、省エネ基準とは、建物の省エネ性能を保証するために設けられた、建築構造や設備に関する規準のことを指します。一次エネルギー消費量基準と外皮熱性能基準の2つがあり、これらの基準を満たしていないと、住宅ローン減税は適用されません。
省エネ性能によって借入限度額が異なる
住宅ローン減税制度では、住宅の省エネ性能によって借入限度額が異なりますが、2024年から入居する住宅では、それ以前に建てた場合と比較して全体的に借入限度額が下がります。
省エネ性能に基づく住宅の分類は、以下の4つに分類されます。
- 長期優良住宅・低炭素住宅
- ZEH水準省エネ住宅
- 省エネ基準に適合する住宅
- その他の住宅
ここでは、それぞれの住宅の特徴と借入限度額を簡単に説明します。
長期優良住宅・低炭素住宅
長期優良住宅は、劣化に対する措置や耐震性能などの基準を満たし、認定を受けた住宅を指します。低炭素住宅は、二酸化炭素排出量の削減に対する措置を施した住宅です。
長期優良住宅もしくは低炭素住宅を取得した場合には、自治体から認定通知書が交付されます。2024年以降に入居する場合、借入限度額は最大4,500万円です。
ZEH水準省エネ住宅
住宅ローン減税では、日本住宅性能表示基準で断熱等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上を達成した住宅が該当します。2024年から入居する場合、ZEH水準省エネ住宅に対する借入限度額は最大3,500万円です。
省エネ基準適合住宅
省エネ基準適合住宅は、断熱性能と一次エネルギー消費量の両方で等級4以上を達成した住宅を指します。
住宅ローン減税の対象となる省エネ基準適合住宅は、断熱等級が4以上、一次エネルギー消費量等級4以上を満たす住宅です。
2024年から入居する場合、省エネ基準適合住宅に対する借入限度額は最大3,000万円です。
その他の住宅
省エネ基準に達していない住宅は「その他の住宅」に該当します。その他の住宅の場合は、2024年から2025年の間に入居し、2023年までに新築の建築確認を受けた場合に限り、借入限度額は2,000万円です。
申請に証明書が必要になる
住宅ローン控除を受けるには、購入した住宅が省エネ基準に適合しているか、それ以上の性能であるかを示す以下のいずれかの書類を提出する必要があります。
- 建設住宅性能評価書の写し
- 住宅省エネルギー性能証明書
必要書類を揃えるには、ハウスメーカーや工務店、建築会社など、設計・施工を担当する業者のサポートが不可欠です。そのため、住宅購入時には住宅ローン減税を利用する予定であることを、早めに施工業者に伝えましょう。
まとめ
住宅ローン減税の変更内容を踏まえ、どの認定制度を取得するかが重要です。しかし、住宅の認定制度の取得は、取得と建築にかかるコストとの兼ね合いにも関係するため、建てる前によく検討する必要があります。
新築住宅の性能や制度利用に関して疑問があるときには、建築家などの専門家や施工業者に相談しましょう。