家の中の寒暖差はない方がいい?リスクと対策方法を解説
家を購入するとき、価格やデザインなどに目がいきやすいため、つい見落としてしまうのが家の中の寒暖差です。暖かいリビングから一歩廊下に出た瞬間、ひんやりとした冷たさを感じたことはありませんか?このような寒暖差は、ヒートショックと呼ばれる健康リスクを引き起こす原因の1つです。
家を新築したりリフォームしたりするときには、快適で健康的な生活環境を整えることが大切です。そこで本記事は、家の中の寒暖差がもたらすリスクと、ヒートショックを防ぐための効果的な対策方法を詳しく解説します。
家の中の寒暖差で起こるヒートショックとは?
ヒートショックとは、そもそも何なのか?ここでは、ヒートショックについて以下3つの観点から解説していきます。
⦁ ヒートショックとは
⦁ ヒートショックでの死亡率
⦁ ヒートショックで気をつけたい場所
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ヒートショックとは
ヒートショックとは、家の中での寒暖差によって急激な血圧の変動が起こり、心臓病や脳卒中などを引き起こす現象です。特に冬場、暖房が効いた部屋から寒い廊下に移動するときや、暖かい浴室から寒い脱衣所に入ったときなどに多く見られます。
急激な温度変化に体が対応しきれず、血圧が急上昇したり急降下したりすることで、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことがあります。特に高齢者はヒートショックを引き起こしやすいため、室温を管理することと、急激な温度変化には十分に注意する必要があります。
ヒートショックでの死亡率
ヒートショックによる死亡率を示す正確な統計はありませんが、東京都健康寿命医療センター研究所の調査によると、2011年の1年間で、1万7千人もの人がヒートショック関連で入浴中に急死したと推測されています(*1)。この数値をみると、ヒートショックでの死亡者数は、1年間の交通事故での死亡者数2,678人(*2)を、大きく上回っていることがわかります。
特に、体温調節がうまく機能しなくなっている高齢の方や基礎疾患のある方に、ヒートショックが起こりやすいと言われています。
*参考1
ヒートショックで気をつけたい場所
ヒートショックで気をつけたい家の中の場所は、主に以下の3つです。
⦁ 浴室・脱衣室
⦁ 洗面所・廊下
⦁ トイレ
それぞれについて、詳しく解説していきます。
浴室・脱衣室
浴室と脱衣室は、家の中で最もヒートショックを引き起こしやすい場所です。暖かい部屋から急に寒い脱衣室に移動し、その後熱い浴槽に入るため、体が急激な温度変化に対応できずに血圧が下がりやすいためです。
特に冬場、浴室や脱衣室の温度調整をしていないと、寒暖差が激しくなりがちです。浴室の暖房を事前につけておく、入浴するときには心臓から遠い足元からゆっくりと浸かるなどの対策をおすすめします。
洗面所・廊下
洗面所や廊下は、家の中でも特に寒くなりやすく、暖房設備もなく玄関からの冷気が入りやすい場所です。特に、冬の朝、暖かい寝室から出てすぐ寒い廊下に出ると、体感温度の急激な変化によりヒートショックが起きてしまうことがあります。
対策するには、廊下や洗面所に小型のヒーターを設置する、断熱材を利用して温度差を減らすなどの方法が有効です。
トイレ
トイレは特に冬場に寒くなりやすく、一般的には暖房器具で暖めることも少ない場所です。夜中に暖かい布団から出て寒いトイレに行くと、体温が急激に下がり、血圧が上昇してヒートショックを引き起こす可能性が高まります。
トイレでのヒートショックを避けるには、暖房便座を設置する、暖房器具を使用するなどして、寒暖差を緩和する方法が効果的です。特に、高齢者にとっては重要な予防措置となるでしょう。
家の中の寒暖差を小さくする方法
家の中の寒暖差を小さくするためには、家の断熱性能を高めましょう。具体的には、断熱材の追加や窓サッシの入れ替えを検討しましょう。特に、窓や外壁、屋根の断熱性を高めることで、外気温の影響を受けにくくなります。
また、家の気密性を高めることも重要です。ドアや窓の隙間を塞ぐことで、冷暖気の流出を防ぎ、室内の温度変化が起こりにくくなります。
そして、暖房器具を配置して使っていくことも有効です。例えば、エアコンや暖房器具を設置すれば、室温を均一に保つことができます。
加えて、カーテンやブラインドを利用して窓から冷気の侵入を防ぐことも大切です。特に、夜間や寒い日は、厚手のカーテンを閉めることで室温の保温効果が見込めます。
まとめ
家の中の寒暖差を減らすことは、住宅選びにおいて重要です。家を建てるときやリフォームをするときには、高気密高断熱住宅を選ぶことをおすすめします。また、暖房設備を配置し、隙間のない窓やドアを採用するなど、具体的な対策を講じることで、健康リスクを軽減し、快適な住環境を実現できます。
ハウスメーカーや工務店を選ぶときには、本記事で紹介したポイントを参考にして、安心で快適な住まいの実現を目指しましょう。